日本原産のアクセサリー、材料は海や山から生まれた宝物

普段から身に着けるアクセサリーは無くてなならないものです。現代こそおしゃれのために身に着けるのですが、装飾品が誕生したころは、別の目的で身に着けていたといいます。

古代エジプト、アクセサリー誕生の歴史
装飾品が誕生したのは古代エジプト時代です。ピラミッドから指輪が発掘されているため、さまざまなアクセサリーがあったと考えられています。装飾品の中でも早く誕生したのは首飾りで、指輪やピアスのように作るために特殊な技術が必要ありません。紐にペンダントトップとなる貝などを通すだけで簡単に出来上がります。首飾りには、魔除けの意味があるといわれていたようで、外敵から身を守る役割で首飾りを身に着けていました。
指輪も魔除けの役割を持つ装飾品だとされており、多くの人々が外敵から身を守るために装着していたようです。
イヤリングやピアスには、幸運を呼ぶ力があるとされています。悪魔は体の穴から入るとされているので、耳にまじないの装飾品を身に着けることで、外敵から身を守る役割もあったようです。
装飾品は古代エジプト時代から始まり、当初は魔除けやまじないの道具でしたが、しだいに人を華やかに彩るアクセサリーへと変わっていきました。

アクセサリーの歴史は人の歴史と同じ長さがあるといわれ、それくらい人と切り離せないものです。古代の人々もアクセサリーの持つパワーに魅力を感じていたのでしょう。装飾品の意味を知ると、これまでとは違った気持ちで身に着けられるようになるものです。

日本史の、アクセサリーの文化と歴史
日本では、後期旧石器時代から1万年以上の歴史があると考えられ、呪術的な意味を持つシンボルとして縄文時代から古墳時代にかけて広く普及していました。指輪、耳飾り、腕輪、首飾り、足飾りなど、多種多様な装飾品が各地の遺跡から発見され、貝や動物の骨・皮・牙などを紐に通したものが装飾品の始まりといわれます。
ヒスイは動物の犬歯を模した勾玉として加工され、竹と水を用いて孔を開け、アクセサリーとして身に着けました。勾玉文化は弥生時代までの東日本で見られ、古墳時代に全盛期を迎え、材料も多様化し、碧玉、メノウ、ガラスなどの勾玉が登場しました。
縄文時代には石を円形に刳り抜いた玦状耳飾りや、粘土で作られた栓状耳飾りが出土し、女性の耳たぶの孔に装着したと考えられています。
首飾りは、耳飾りと同じく縄文時代から用いられ、勾玉を連ねた首飾りのほか、硬玉や動物の牙骨、貝や石などが素材として用いられました。弥生時代に入ると管玉や小さな玉を数珠状に繋げたものが多くなり、碧玉やガラスなどが好んで用いられています。古墳時代には権力者のシンボルとして祭祀などで一重または二重巻きにして装着されていたことが埴輪によって明らかになっています。

古墳時代後期に入ると、有力な豪族の遺跡からは多くの装身具が出土しているのに対し、地方の豪族の遺跡からは鏡や銅剣が出土するなど、副葬品の内容に変化がでてきます。これは、中央集権的な国家が確立することになったことが原因と考えられます。やがて7世紀に入るころには、埴輪の消滅とともに玉類の装身具が消滅してしまいました。そして、奈良時代以降、明治時代に至るまでの約1100年間、これらの装身具は忽然と姿を消します。その後、明治以降に海外からの文化移入として装身具は復活し、日本の近代化思想とともに普及を果たし今日に至っています。

日本で採れる、有機物宝石・無機物宝石
宝石のほとんどは海外で採掘されたものを、原石や加工済みの宝石などさまざまな形状で輸入しています。日本列島は約6億年前、海洋プレートが大陸プレートに沈み込むときに、海の岩石と陸の泥や砂がプレートの境界ではぎ取られた地質体をもとに形成されました。ですので、数十億年の時をかけて生成される天然ダイヤモンドなどは採れません。でも、一部の宝石は日本でも採掘されているのです。

「有機物宝石」は動植物の活動によって生成される生物由来の宝石です。
真珠や珊瑚は海で採れるのです。海に囲まれた日本だからこその宝石ともいえます。「琥珀」「珊瑚」「真珠」の3つは、日本国内でも多く採れる有機物宝石です。
琥珀(こはく/Amber)主な産地:岩手県久慈市
琥珀は鉱石ではなく樹液が化石化した、植物由来の宝石です。産地や樹木の種類によって色が変わり、黄金色・黄色・茶色・黒色・白色など、さまざま色味があります。琥珀の生成過程は非常に長く、2000万年~6000万年程度かかるといわれます。そのため、琥珀は宝石としても、歴史的な価値としても珍重されています。古くは縄文時代に装飾品として身に着けられていたようです。
珊瑚(さんご/Coral)主な産地:高知県高知市ほか、小笠原諸島、五島列島、奄美大島など
珊瑚礁にいるのはテーブル珊瑚やすり鉢珊瑚といわれる珊瑚虫で、宝石になる珊瑚と珊瑚礁にいる珊瑚はまったくの別物です。宝石になる珊瑚は宝石珊瑚と呼ばれる触手が8本の珊瑚虫です。宝石珊瑚は、水深100m~300mの深海で暮らし、その宝石珊瑚が長い年月をかけて枯れ木化した(死んだ)ものが宝石として扱われています。「血赤珊瑚」「地中海珊瑚」「ピンク珊瑚」「シロ珊瑚」4つの種類があります。
真珠(しんじゅ/Pearl)主な産地:三重県志摩市ほか、愛媛県と長崎県が真珠の最大産地
真珠は母貝が体内に入ってきた異物に対して反応することによって生成されます。天然物の真珠は、母貝の体内に偶然異物が混入したもので、養殖物より価値が高いとされ、現在日本で出回っている真珠の多くは、人の手が加えられた養殖物です。真珠の色は、母貝の種類によって白・黒・クリーム・ゴールド・ピンクなど、それぞれ異なります。真珠貝には、アヤコガイ・シロチョウガイ・クロチョウガイ・マベなど、日本で採れる真珠の母貝は、ほとんどがアヤコガイです。

「無機物宝石」は鉱物などの無機物から生成される宝石のことです。
無機物宝石は、日本であまり採れないですが、国内でも採掘できるものが存在します。日本国内で採れる無機物宝石は「翡翠(ひすい)」「サファイア」「緑柱石(ベリル)」「アメジスト」「瑪瑙(めのう)」「トルマリン」などです。
翡翠(ひすい/Jade)主な産地:糸魚川および糸魚川周辺地域(朝日町・小谷村・白馬村)が最大の産地
翡翠は古事記にも記され、古く長い歴史があります。翡翠にはジェダイト(硬玉翡翠)とネフライト(軟玉翡翠)という硬度が異なる2つの鉱石で、硬玉は「翡翠輝石」、軟玉は「角閃石」です。約7000年前、縄文時代中期に新潟県糸魚川市で発見されました。翡翠の名前の由来は鳥のカワセミ(翡翠)で、その美しさから、古来より限られた身分の者しか身に着けられない高貴な石として扱われていたそうです。
サファイア(Sapphire)主な産地:奈良県香芝市
深い青色と鮮やかな発色が人気で、ダイヤモンドやルビーと並ぶ世界四大宝石の一つです。
緑柱石(ベリル/Beryl)主な産地:福島県、茨城県ほか
無色透明の鉱物で、地中で酸化クロムや鉄、不純物などが付着することによって色が変わります。緑柱石に酸化クロムが付着したものをエメラルド、鉄が付着したものをアクアマリンと呼びます。
アメジスト(Amethyst)主な産地:宮城県など
無色透明の水晶に鉄イオンが付着することで紫に変化する変種です。熱に弱く、直射日光に晒され続けると紫の色素が抜けてしまうため、取り扱いに注意が必要な石です。アメジストが脱色して黄色くなったものは「シトリン」という宝石として扱われるため、シトリン生成のためにあえてアメジストを加熱する場合もあります。
瑪瑙(めのう/Agate)主な産地:北海道、青森県、富山県、石川県など
瑪瑙は「火山性」と「堆積物」の2種類からなる無機物宝石で、元々は石英(せきえい)と呼ばれる鉱物です。この石英に酸化鉄や不純物などが沈殿し、長い年月をかけて幾つもの層(縞模様)を形成したものが瑪瑙と呼ばれています。
トルマリン(Tourmaline)主な産地:
トルマリンの色は、グリーン・ピンク・レッド・インディゴ・バイカラーなど100色あり、「カメレオンジェム」と呼ばれます。マイナスイオンを発生させることから「電気石」とも呼ばれ、工業用として利用されます。岩盤浴などに利用され、美肌効果が期待できるといわれています。

国内で宝石探し、採掘できる場所
「自分でも採掘してみたい!」という方には、採掘体験や宝探しができる施設がおすすめです。実際に採掘を楽しみたい方はぜひ参考にしてください。

久慈琥珀博物館(岩手県久慈市)
岩手県久慈市にある「久慈琥珀博物館」は、恐竜たちが生きていた白亜紀後期の琥珀を展示、販売している琥珀博物館です。そんな久慈琥珀博物館は、久慈層群(約9千年前の地層)から琥珀を掘り出す本格的な採掘を体験できる国内唯一の施設。高校生以上の同伴者がいれば、小学生未満の小さなお子さまでも本格的な採掘体験に参加できます。

ストーンミュージアム 博石館(岐阜県中津川市)
岐阜県中津川市にある「ストーンミュージアム 博石館」は、高さ約15mもある巨大な御影石(みかげいし)のピラミッドや、天然の水晶、ダイヤモンド、化石など、世界各地の貴重な鉱石や宝石を展示している石のテーマパークです。敷地面積は約7,000坪で、芝広場・オベリスク広場・ピラミッド広場3つの広場と、森の小径やカフェ、ミュージアムショップ、記念館や展示室など、さまざまな施設が入居しています。