歩いてみたい、ヨーロッパの巡礼路

サンティアゴ・デ・コンポステーラ
サンティアゴ・デ・コンポステーラは、聖ヤコブ(スペイン語で「サンティアゴ(Santiago)」となる)の遺骸があるとされる聖地であり、バチカン、エルサレムと並んでキリスト教(カトリック)三大巡礼地のひとつとされています。ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路は、フランス各地からピレネー山脈を経由してスペイン北部を通ります。巡礼路のうちスペイン国内の道は、1993年に「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」としてユネスコの世界遺産に登録されました。
イエスの十二使徒の1人である聖ヤコブがエルサレムで殉教したあと、その遺骸はガリシアまで運ばれて埋葬されました。813年にその墓が発見されたことを記念して墓の上に大聖堂が建てられました。10世紀には信者によるヤコブの墓への巡礼の始まりました。11世紀にはヨーロッパ中から多くの巡礼者が集まり、最盛期の12世紀には年間50万人を数える程に広がりました。これは当時、イベリア半島を支配していたイスラム教国への対抗として、複数のキリスト教国のイベリア半島再征服活動とするレコンキスタとも連動し、ヤコブはキリスト教国の守護聖人(ラテン語:patronus)と見なされ、崇敬されていました。
1000年以上の歴史を持つ聖地への巡礼路は、今も年間およそ10万人が訪れます。フランス各地からピレネー山脈を越えスペインに入り、ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩く距離は、およそ800Kmの道程となります。

巡礼路を歩く旅の魅力
1000年以上の歴史のあるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路は、戦争等による混乱によって巡礼者の数が減り、衰えた時期が続きました。しかし、21世紀に入り巡礼者が増え、毎年数万人に上ります。その多くは徒歩で、自転車を使う人もいます。目的も、キリスト教の信者としての信仰のためだけでなく、観光やスポーツ、単なる目標達成のために歩く人もいます。キリスト教圏の人たちばかりでなく、世界中の人がサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指し、中には韓国や台湾などアジアの人たちも見かけるほど、巡礼者の国籍も多様化しています。
ピレネー山脈を越え、スペインに入ると、巡礼の拠点の街が見えてきます。そこの巡礼事務所、教会、巡礼宿(albergue:アルベルゲ)等があり、名前を登録し、巡礼者の証明となる巡礼手帳(credencial:クレデンシャル)を受け取らねばなりません。スペイン巡礼には巡礼手帳が必要で、巡礼手帳に毎日最低でもアルベルゲで1個のスタンプを押してもらうことで、巡礼の最終地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラで巡礼証明書をもらうことができます。
巡礼路の道沿いには、巡礼者に一夜の宿を与える巡礼宿が点在し、巡礼手帳を持つ人を誰でも泊めてくれます。巡礼宿の運営主体は、市町村や州政府など公的なものと修道院や教会、巡礼者協会、支援団体など、個人やNPO法人が経営するものがあります。宿泊料金は1泊5~15ユーロ程度の宿と、任意の寄付に頼るものもある。宿の多くは予約不可で、早く着いた順に泊れます。朝8~10時までに出発しなければなりません。管理人が常駐しているとは限らず、ボランティアスタッフでの運営もあります。
一般のホテルとは違い、営利を目的としていないので、「お客さま」として迎えるのではなく、巡礼者も「泊めさせてもらう」という気持ちが必要となります。こうして、世界中から集まる巡礼者との出会いと人間的な交流の場となり、巡礼路を歩く旅の魅力を満喫することができます。

世界中の巡礼者との交流の場
憧れの巡礼路を歩いてみたい・・・という気持ちだけでは、達成できるはずもありません。どんな心構え、どんな装備、どれだけの費用、そして、巡礼する多くの人々、現地の人々とのコミュニケーションがとれるか、巡礼旅を経験した先輩諸氏の教えを学んでいきましょう。
巡礼路は、世界最大の宗教であるカトリック教徒の聖地を目指す旅で、世界中の人々が集まります。西ヨーロッパのフランスとイタリア、ドイツから来た人で半分を占めます。アジアからは韓国が多く、アメリカやカナダの北米から、イギリスや北欧、東欧から、そして少数ながら、中南米のプエルトリコ、ニカラグア、ペルーの人たちがいます。でも、日本人は少ないですね。
巡礼者の年齢は60歳前後の人たちが一番多く、若い人は少ないです。若い人のほとんどは韓国人のグループだそうです。キリスト教徒でなくても参加できる場は多く、厳粛なミサの時を除けば、ほとんどの人はトレッキングや観光気分でやってきています。みんなで楽しく歩こうという感覚なのでしょう。
巡礼者同士のコミュニケーションは英語ですが、せっかくスペインを歩いているのだから、スペイン語を勉強していくのをお勧めするします。巡礼旅を実体験された、下記のサイトをご覧ください。



世界の主な巡礼地

ベツレヘム
ヨルダン川西岸地区南部にあるパレスチナ・ベツレヘム県の県都です。ヘブライ語聖書では「ダビデの町」とされ、新約聖書ではイエス・キリストの生誕地とされています。ベツレヘムではムスリムが多数派だが、キリスト教コミュニティーも存在します。

エルサレム
西アジアにある都市です。エルサレムは世界最古の都市のひとつであり、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖市と見なされています。

メッカ
サウジアラビアのマッカ州の州都です。イスラム教最大の聖地です。ムスリム(イスラム教徒)は一日に5回決まった時刻に、メッカの方向に向かって礼拝を行います。あらゆるムスリムは、巡礼「ハッジ」を、一生に一度は果たすのが義務となっています。

セドナ(アリゾナ州)
アメリカ合衆が国アリゾナ州中北部にあります個性的な形をした赤い砂岩の岩山に囲まれた場所であり、レッドロック・カントリー(Redrock Country)と呼ばれます。古来、ネイティブ・アメリカンが聖なる場所(聖地)とあがめた場所です。


日本の主な巡礼地

四国八十八箇所
四国にある空海(弘法大師)ゆかりの88か所の仏教寺院の総称で、四国霊場の最も代表的な札所です。

日本百観音
西国三十三所・坂東三十三箇所・秩父三十三箇所を総合した日本を代表する100の観音巡礼です。

熊野三山
熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社社の3つの神社の総称です。熊野三山の名前から仏教的要素が強いです。日本全国に約3000社ある熊野神社の総本社です。

伊勢参り
「お伊勢さん」と親しく呼ばれる伊勢神宮です。古代には個人的な参拝はできませんでした。江戸時代以降は交通網が整備され、広い階層の参宮が行われるようになりました。


旅行社のご案内