100種もあるといわれる品種、ぶどうを選んで楽しむ

ぶどうの魅力はフレッシュな美味しさだけではなく、健康に効果のある果物だからです。人間のエネルギー源である「糖質」が豊富に含まれ、摂取した「糖質」は体内で吸収され、脳で利用できる唯一のエネルギー物質である「グルコース（糖質の最小単位）」になります。スポーツ選手が試合の前後や休憩中などに果物を食べるのも、この「グルコース」を補給し脳を働かせるためです。
素早くエネルギーを補給したい時に摂るのに、ブドウが最適な食べ物であるから、「ブドウ糖」と呼ばれています。ぶどうは勉強中や運動時などの必要な糖質なのです。

ブドウは夏から秋にかけて旬を迎え、粒の小さなデラウェアから、巨峰などの大粒の品種が出回り始めます。品種によって粒の大きさや皮の色や厚さが異なり、甘酸っぱさや芳醇な香りを楽しめる果物です。
果皮にブルーム（白い粉）が付着している
ぶどうの表面についている白い粉は、実から分泌される保護膜です。実の水分が飛んでしまうのを防ぎ、細菌などから守ります。白い粉が実全体についていれば、鮮度が保たれた美味しいぶどうです。
軸の色がきれいな緑色かをチェック
軸の色が茶色く、硬いブドウは収穫から時間がたち、鮮度が落ちています。新鮮なぶどうは軸が太くて緑色のものを選びましょう。
果皮の色で判断する
巨峰などの色の濃い品種は、果皮の色が濃くて黒に近いほど、マスカットなどの黄緑系品種は、やや黄色に近いものが見分ける基準です。
実の間隔の開き具合で判断する
実の大きさが揃い、実と実の間隔が適度に空いているぶどうは、実の重みで房が垂れていて、熟した美味しいぶどうであるサインです。
ぶどうは一番上が甘い
ぶどうの一番甘い部分は上部です。軸に近ければ近いほど甘く、枝から栄養分が運ばれてくるからその近くが一番甘くなります。
ぶどうの保存方法
ぶどうは日持ちしない果物ですので丁寧に保存しましょう。新聞紙やラップ、ポリ袋で優しく包んで、冷凍庫の野菜室で保存します。
ぶどうの食べ方
ぶどうのいろいろな食べ方で、一番おいしいのは「生食」です。食べる際には30分ほど前に冷蔵庫から取り出し、常温にしてから食べましょう。常温状態にすることで甘みがわかりやすくなります。

ポリフェノール
アントシアニンやレスベラトロール、タンニンなど、強い抗酸化作用をもち、動脈硬化や花粉症などを抑える作用がある、さまざまなポリフェノールが豊富に含まれています。
アントシアニンには眼精疲労や動脈硬化を予防する効果が、レスベラトロールにはコラーゲンを分解する酵素「コラゲナーゼ」のはたらきを抑え、コラーゲンの減少を防ぐことで、肌のシワやたるみを予防する作用があります。
ブドウ糖
ブドウ糖や果糖など吸収されやすい糖質が多く含まれているため、脳のはたらきを活発にして、集中力を高め、疲労回復の効果が期待できます。素早いエネルギー補給に適しているので、休憩中などに手軽に食べられます。
カリウム
ミネラルの一種、カリウムが多く含まれているため、むくみ予防を期待でき、ナトリウム（塩分）の体外排出、筋肉の収縮、血圧の上昇を防ぎます。
むくみは体の塩分量が多い時、それを緩和させるために体が水分を蓄えることで起こります。カリウムには塩分量を調整する働きがあり、体内の塩分を減らす利尿作用により、むくみ予防につながります。
ビタミンB群
エネルギー代謝を助け、粘膜の再生、免疫機能の維持や貧血・疲労感を軽減する作用があります。
ビタミンC
ぶどうに豊富に含まれる美容成分のビタミンCは、メラニンの生成を抑える働きがあり、シミやくすみの改善が期待でき、コラーゲンの生成を促進し、肌のハリと弾力を保つのに役立ちます。
有機酸
抗酸化や抗菌性が期待されています。ぶどうにはリンゴ酸と酒石酸が含まれています。

ぶどう産地の生産量推移
ブドウの生産量1位は山梨県です。山梨県は栽培面積でも国内トップで、日本一のブドウ産地です。ブドウの出荷、全国シェアでは約25％を山梨県が占めています。次いで2位長野県、3位岡山県、4位山形県の順に並び、この4県で全国のブドウ生産量のうち約60％を占めます。
1 位　 山梨県 　4万1,700t
2 位　 長野県 　3万1,400t　
3 位　 岡山県　 1万5,300t
4 位　 山形県 　1万3,800t
5 位　 北海道 　　 7,760t
出典：農林水産省統計（おもな産地と収穫量 2023年）
美味しいぶどうが育つ条件とは？
美味しいブドウは、ブドウ栽培に適した自然条件の中で育ちます。ブドウの名産地には、風土や気候などブドウを育てるのに最適な環境が揃っているんです
・生育期間の雨が少ない
実り豊かで良質なブドウの樹には、雨が少なく乾燥した気候が適しています。生育期間にあまり雨の日が多いと、病気を引き起こしたり、実りが悪くなってしまいます。そのため、ブドウの開花から収穫までの約3カ月間、雨が少なくカラッとした天気が続くのが理想です。
・昼夜の寒暖差が大きい
昼夜の寒暖差は、ブドウの甘みに重要な要素です。ブドウの糖分は暖かい昼の間に作られ、呼吸するエネルギーとして消費されます。しかし、気温が下がる夕方から夜は、ブドウの呼吸は緩やかで、エネルギー消費も少なくなり、夜の低温により糖分の蓄積がされます。
・日照時間が長い
ブドウの糖分は光合成によって生成されるため、太陽の光により活発に糖分が作られて、甘いブドウに育ちます。山梨県は、日本一日照時間が長く、甘みが強くジューシーな味わいです。